読書:証言:沖縄スパイ戦史

三上 智恵

子ども達にされた、国のために戦うことが名誉という教育を基礎に、中野学校出身の隊長から巡らされた策

地域に詳しい子ども達を使っての遊撃隊編成 そのため親たちはともに戦う意識で、アメリカ軍に投降することもできない

しかし一方で、子ども達には、国のためなら親たちも犠牲にするという教育で、自分の村まで焼き払わせる

住民には、軍の機密を知った者が投降すれば、それはスパイだという意識を植え付け、互いを監視させる  戦時中の恐ろしいマインドコントロール

しかし少年達を教育、指揮する村上や岩波隊長達も、中野学校でスパイ教育を受け、同じようにコントロールされていた

一方で、そうはいっても22-23歳の青年が、年下の少年を死なせざるを得なかった事に対する悔恨は想像できるし、筆者のその点を見る暖かいまなざしも読める

民間人が米軍にとらえられれば、軍の機密を漏らすのではないかという疑心暗鬼で、スパイとして虐殺された民間人がなんと数百人いたとは!

戦後は被害者家族と加害者が同じ地域に住んでいることもあり、全貌は語られてこなかったということだ

自国の軍隊による自国民虐殺という残酷な出来事に、国はまともに事実に向き合ってこなかった 空襲などが被害の中心だった本土の被害者と、地上戦が行われた沖縄の人たちでは、軍隊の本質を見る目が違うということが思い知らされた

しかもこの考え方が、今の自衛隊法にも引き継がれているとは!

 著者の言うとおり、今の子ども達が義務教育として学ぶべき事であり、大人も学び治さなければならない

「過ちの記録こそが次の過ちを未然に防ぐ地図になる」