読書:盤上の向日葵

柚月裕子

父親から虐待されて育った、炎の棋士 上条佳介

ゴッホに重ねて投影される、自らの狂気

将棋の裏社会を描く珍しい題材に、佳介を巡る人間模様や生い立ちを絡ませ、それを刑事二人が、天木山死体遺棄事件を真相解明しつつ、それを暴いてゆく過程が、ミステリーとして引きつけられる

やがて死を望む、自らの血の導くままに、最期が描かれている