読書:生きづらさについて考える

内田樹

さまざまな媒体に書いたエッセイのコンピレーションとのこと

目次の表題からして大きな問題提起というか挑戦的

「第一章 矛盾に目をつぶる日本人」「私たちは歴史から何も学ばない」

日本では:熟議するというのは要するに時間をかけるということ

そのうち想定外のことが起きて、たちまち問題解決

理路整然と正論を述べて、論破するようなやり方は好まれなかった

   確かに

医療、教育、行政のような「社会的共通資本(それなしでは人間が集団として生きてゆくことのできない制度)」を株式会社化してはいけない

専門家によって、専門的知見に基づいて、定常的に管理運営されるべきもの

 

筆者はあとがきで、現代日本で政治について語ると暗くなると

中央年齢 日本が世界一 (豊かで安全だが、子どもが生まれない国)

他に高い国は、第二次世界大戦敗戦国 戦後しばらくしてから子どもが生まれなくなった

戦中派は「敗けてよかった」が実感 戦争で死ぬ、政府に弾圧されるの恐怖から解放された

戦後派にとって、敗戦は「経験の欠如」という経験

どうして敗けたのか、どうして「こんな国」になったのか説明されないまま、敗戦国民として道義的責任、政治的責任だけは「時効なし」で負わされる

なのでとりうるスタンスは、責任を引き受け謝り続けること(政治的に正しい)か戦争責任をまるごと放棄する(政治的に正しくない)(歴史修正主義者の中に戦争経験者はいない)のどちらかになってしまい、暗さが残される

ネトウヨの台頭

「人は誰も平等であるべき」だが「その理想を実現するためには『自分には他の人よりも多くの責務がある』という自覚を持つ人間が要る」

「貴賤の差のない世界を実現するためには『ノブレス・オブリージュ(高貴であることの責務)を感じる人が要る」