読書:神よ憐れみたまえ

小池真理子

両親を殺害した犯人が、唯一血縁として頼っていた叔父だったとは

それを知って、取り乱した気持ちで結婚した相手が、自分の体だけを求めていたとは

しかし若年性認知症になり、徐々に記憶が薄れる中、家政婦だったたづ一家や、その娘の忘れ形見で養子にした律や、ピアノとともに過ごしたよい想いが残されていく

そこに哀れんだ神がテをさしのべたと思われなくもない

昭和のにおいを濃く残す、物語展開や筆致が、逆に目新しく感じないこともない