読書:サハラの薔薇

下村敦史著
新聞書評で図書館から借りる
放射能で汚染された砂の結晶である薔薇 
サハラにある天然原子炉からの汚染だと死の間際に永井は教えるが・・・
長い砂漠からの脱出行が描かれ、地質学者も盗賊ももはや関係ないのではと思わせる物語の中での、急転直下の展開と告白
それまで何度も峰の心の葛藤が描かれるが、実に俗物的で共感を呼ぶ
人は誰でも大義だけでは生きられないし、人に言えないことの一つ二つは持っている
そんな弱い人間が、最後に良心を取り戻そうと徒労の歩みを始めたところで物語は終わる
全体に命を落としそうな状況が続く割には、あっさりとしたストーリー展開
それも最後の峰の心意気につながるということか