2021-01-01から1年間の記事一覧

読書:彼らは世界にはなればなれに立っている

太田愛 人間とは何かを問い詰めているようだ よそ者を蔑み、自分の優位性をそのことで確認する事の愚かさや 今のLGBT問題にも繋がる多様性をどう認めるかの視点 魔術師のくだりは、まさに現代の保守教育批判となっている こんなふうに戦うのなら、抵抗するべ…

読書:人は、なぜ他人を許せないのか?

中野信子 他人に、「正義の制裁」を加えると、快楽物質ドーパミンが放出される これにはまって「正義中毒」になる SNSの正義中毒者がなぜか頻繁に使用する言葉「バカ」 攻撃者は自らに直接危害が及ぶことなく、安全な場所から攻撃する 愚かさの基準は国に…

読書:『北の国から』黒板五郎の言葉

倉本聰 北の国から 何度見たり読んだりしても切ない物語 現代文明を痛烈に批判しながら、厳しい自然の中で暮らし、しかし現代文明に影響されながら、挫折しては立ち上がって生きていく姿が心揺さぶる 人間も自然の一部なんだとつくづく思わされる その中での…

映画:モーリタニアン

実話 弁護士役のジョディ・フォスターや被告人役のタハール・ラヒムが、少なくとも,見かけも実物そのもの 証拠がなくても、犯人に仕立てられるなどということは、今でも警察の体質からは十分あり得るだろうし、ましてや軍隊のやること、しかもテロ事件とあっ…

読書:働かないアリに意義がある

長谷川 英祐 道を間違えるアリが交ざっているほうが、エサを効率よくとれる場合がある 司令官がいない社会性昆虫のアリやハチには個性が存在する 反応閾値に個体差があると必要な仕事に必要なワーカーを臨機応変に動員することができる 働かないアリとは、「…

読書:テレビの国から

倉本聰 やすらぎの郷や北の国からなど NHKとけんか別れして、北海道へ「逃げて」からの作品にまつわるあれこれ 倉本聰が何を大事にして書き上げ、当時の何に対しての批判を含めていたのかなど 想いが語られ、作品の背景を知り、改めて作品の意味が見えて…

映画:007/No time to die

7年ぶりと ダニエル・クレイグが終わり方を考えていたというだけあり、これまでとひと味違ったボンドだった 何しろ引退して、彼女と仲良く暮らすボンド しかも年取ったボンド 後任も決まっている 実は再任テストも合格点とれず しかしボンドはボンド それな…

読書:じんかん

今村 翔吾 「にんげん」と読めば一個の人を指す。「じんかん」とは人と人が織りなす間。つまりはこの世という意である。 人は飢え死のうとも、孤独に勝てない 多聞丸 人間とは を松永久秀の生涯と、それを語る信長を通して明らかにしようと試みた と言えるか…

読書:アクティベイター

冲方丁 スパイ映画さながら 動作の心理的深読み 出会ったことのない小説 詳細な調査や検索の後がうかがえる 核を積んだ中国ステルス爆撃機の亡命、日本の官庁職員や、その黒幕、アクティベイターなる日米管理のエージェント、現実社会には表に出ないが、本当…

読書:透明な螺旋

東野圭吾 湯川が養子に出されていた子だったとは! 園香と母の千鶴子、その母親の境遇が、湯川の生い立ちと重なっての行動だったのだとは想像される しかし実は秀美と園香とは血縁ではなかった 最近の作は謎解きがやや単純になってきた傾向があるようにも思…

読書:深追い

横山秀夫 コロナで図書館が休みとなり、買っておいた本を読む あまり読まない短編集 横山らしい、警察のどろどろと、しかし人情味あふれた話

読書:罪の轍

奥田英朗 松本清張を彷彿とさせる、昭和の刑事もの 吉展ちゃん事件をモチーフに 当時初めての報道協定や、広域捜査、警察の縦割りの不備、テレビを通して全国を揺るがす事件となった背景が描かれている 子どもの殺人事件は痛ましい

映画:キネマの神様

山田洋二監督89作品目 松竹100周年記念 ゴウ役だった志村けんがコロナで逝去 急遽沢田研二が代役に 小津安二郎の東京物語の撮影風景 北川景子の原節子としての主役風景が似合う 監督目指すゴウの挫折 それを支えようとする淑子 コロナ渦の現代に飛び、アルコ…

読書:なぜ秀吉は

門井 慶喜 朝鮮出兵のわけは? 見方の恩賞となる土地のため、貿易のため、日本の民が外国の奴隷にならないようにするため、名を残すため、気まぐれ? 大名の結束、国家秩序の強化と大名の戦力削減 と家康は考えるが 秀吉は言う 自分は樹 生まれながらの欲に…

読書:マルベリー作戦 上・下

ダニエル・シルバ CNNエグゼクティヴ・プロデューサーとしての出世作 第二次世界大戦時、連合軍がドイツに対し、イギリスからフランスへの上陸侵攻作戦 カリー湾かノルマンディーか その選択の決め手を巡る、イギリス潜入ドイツスパイと、その摘発に当たるM…

読書:仕掛学

松村真宏 AI研究者 仕掛けは「行動の選択肢を増やすもの」新たな選択肢が魅力的なら進んで行動を変える 直感的に注意を引かない仕掛けはそのまま通り過ぎられてしまう 人に何かしてもらいたいとき、直接お願いするより、その人の興味と行動を結びつけて結…

読書:チーム・オベリベリ

乃南アサ 事実と実在人物に基づいたフィクション 明治維新後上田藩に仕えていた父が失業し、東京に出たカネ一家 横浜の女学校に校費生として通う そのうち兄と父が北海道開拓団として北海道へ 同じ団の渡辺との結婚を父に勧められ一緒にオベリベリへ 帯広:…

読書:天離り果つる国 上下

宮本 昌孝 あまさかりはつるくに 白川郷の戦国時代末期の、領主内ヶ嶋氏 娘紗雪と従兄弟に当たる、竹中半兵衛の弟子七龍太を中心に、戦国を生きる小国の領主領民の生き様 登場人物のキャラが立っていて、わかりやすくはあるが単純化しすぎているようにも 織…

読書:そして、バトンは渡された

瀬尾まいこ 死別や離婚で親が変わり、家族の形態が7つにも変わった優子 「大人はいつも子どもの知らないところで、動いている。」 しかしいつも親からは暖かく見守られて、「困った。全然不幸ではないのだ。」との思いで進路面談から始まる。 今より大事にす…

読書:にじいろ子育て

本田秀夫 児童精神科医 山日に連載していたが本になった 子供の視点で親の姿勢が書かれている 褒めてほしいことをほめる ダメと叱るよりポジティブに 子供の達がに立った考え方が示されている 我々古い世代には目から鱗

読書:逃亡者

中村文則 キリシタン迫害 第二次世界大戦でのトランペッターと残された楽器 そしてネット世論が操作されている現代 独裁政権批判ととってよいのか なんとも不思議な小説 感想が書きにくい 公正世界仮説 世界や社会は公正で大丈夫で安全であると思いたい。だ…

読書:ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

東野圭吾 コロナを背景に、父親を殺された娘と、突然現れた叔父の謎解き 殺人事件ではあるが、話はゆったりと流れる 同窓生達の、社会に出てからのしがらみを背負った再会 いかにも胡散臭い、元手品師の叔父の推理 意外な犯人と殺人に至った、悲しい経過、今…

読書:幻夏

太田愛 3人が活躍するシリーズ2作目 知らずに3作目を先に読んでしまったが、全く問題なかった 相馬の幼なじみ尚と拓兄弟の深い愛情 それと深く交わる相馬の幼い心が胸を締め付ける まるでテレビドラマを見ているように、細かく導線が張り巡らされて、徐々に…

読書:江戸の夢びらき

松井今朝子 初代-二代目市川団十郎と歌舞伎の荒事の始まりを、妻恵以の目から描く 上方には坂田藤十郎、近松門左衛門 荒事とは魂の憤り、それは遺恨もあれば慚愧もある 悪辣な敵に向けられ、不甲斐ない自身にも向けられる さらにはこの世界のあらゆる理不尽…

読書:天上の葦

太田愛 シリーズ3作目 といっても2作目はまだ読んでいない 天を指さして、スクランブル交差点で死んだ正光 何を指したのか調べるという磯辺の依頼を受け、3人がそれぞれの得意を生かして調査が進む 背景に戦前戦中の、報道統制やそれによって不幸に落ちた国…

読書:ケーキの切れない非行少年たち

宮口 幸治 犯罪を犯した少年も大人も、反省すれば、更生の道が開けるのかと思っていたが、 反省すらできない、知的ハンディのある子供たちの問題が明らかにされた これでは犯罪がなくならない そもそもなぜ犯罪をしてはいけないかが理解されないという事だ …

読書:グレート・ギャツビーを追え

ジョン・グリシャム 村上春樹訳 久々のグリシャム しかも村上春樹の訳 法廷ものではないが(新しいのは法廷ものが少ないような)あいかわらずのスリルとサスペンス 女流作家のマーサーが主人公と思って読んでいたが、実は書店主ブルース・ケーブルが主人公で…