読書:使命と魂のリミット

東野圭吾
自分の父親の心臓手術をして、術死になってしまった執刀医を、指導医と仰ぐ(実は手術の真相を知ろうとしている)研修医の物語
指導医は母親との結婚話をすすめている
患者に恨みを抱く者の、手術妨害をくぐって何とか手術を成功させるクライマックス
「医師とは無力な存在なのだ。神ではないのだ。人間の命をコントロールすることなどできない。できるのは、自分の持っている能力をすべてぶつけることだけだ。
医療ミスとは、その能力の不足から生じる。
能力のある者が、わざとそれを発揮しない、ということはありえない。そんなことはできないのだ。道徳だけの問題ではない。全力を尽くすか、何もしないか、その二つのことしか医師にはできない。」
これほど医師を理解している作家がいるだろうか。