読書:人魚の眠る家

東野圭吾
重いテーマによくぞ取り組んだとまず感心
横隔膜刺激での呼吸や、脊髄部刺激での手足の動きなど、さすが先進科学に精通している東野の面目躍如
一方で脳死移植をめぐる政治、医学の問題点や家族の揺れる心情を見事に現わしている
やはり日本人にはなかなか脳死は受け入れられないが、法的整備の遅れの影響が大きいことを洞察していてさすが
薫子の「この世には狂ってでも守らなきゃいけないものがある。そして子供のために狂えるのは母親だけなの」の言葉に、狂気とも思えるこれまでの行動が凝縮されている。
ラストがプロローグの宗吾に戻る演出がにくい